共働きでも小学校受験はできる?
共働きでも合格はできる——データが示す事実
結論から言えば、共働きでも小学校受験は十分に可能です。大手幼児教室の調査によると、難関私立小学校の合格者のうち共働き家庭の割合は年々増加しており、2025年度入試では合格者全体の約40〜50%が共働き家庭だったという報告もあります。特に東京農業大学稲花小学校や洗足学園小学校では、共働き家庭の合格者が過半数を超えるケースも珍しくありません。10年前には共働き家庭の割合は20〜30%程度だったことを考えると、大きな変化です。
この背景には、共働き家庭に配慮した学校側の変化があります。アフタースクールの整備、給食の導入、保護者会のオンライン開催など、学校側が共働き家庭を積極的に受け入れる体制を整えてきました。また、共働き家庭の子どもは自立心が高く、時間管理能力に優れていることが多く、これらは入試でも評価される要素です。大切なのは「時間の量」ではなく「時間の質」。限られた時間の中で、いかに効率的に準備を進め、お子様との密度の高い時間を確保するかがポイントになります。
アフタースクール充実校——入学後も安心の学校リスト
共働き家庭にとって、入学後の放課後の預かり体制は学校選びの最重要ポイントのひとつです。近年、多くの私立小学校がアフタースクール(放課後預かりプログラム)を導入・拡充しています。以下に、アフタースクールが充実している代表的な学校を紹介します。
- •洗足学園小学校:「洗足学園アフタースクール」を校内で運営。最長19時まで預かり可能。英語、プログラミング、アート、そろばんなど多彩なプログラムを用意。長期休暇中も8時〜19時で対応。月額費用は約2万〜3万円(プログラムにより異なる)
- •東京農業大学稲花小学校:2019年開校時からアフタースクールを完備。最長18時30分まで。「稲花アフタースクール」では農大連携の自然体験プログラムや英語レッスンが人気。共働き家庭の入学者が多く、学校全体の雰囲気として共働きへの理解が深い
- •成蹊小学校:「成蹊学童クラブ」を運営。最長18時30分まで預かり。宿題サポート、スポーツ、工作などのプログラムを提供。長期休暇中も利用可能
- •青山学院初等部:「アフタースクールプログラム」を導入。最長19時まで。サッカー、バレエ、料理教室など習い事感覚で利用できるプログラムが豊富
- •慶應義塾横浜初等部:放課後の居場所づくりとして「放課後プログラム」を実施。体験型のプログラムが充実
- •開智小学校(さいたま市):最長19時までの預かり制度あり。学習支援プログラムも含まれ、宿題を学校で完了できる
- •西武学園文理小学校:最長18時まで預かり可能。英語やスポーツのプログラムも選択可能
共働きに理解のある学校の見分け方
アフタースクールの有無に加えて、共働き家庭が通いやすい学校にはいくつかの共通した特徴があります。学校説明会や見学時に、以下のポイントを確認しましょう。
- •給食制度の有無:毎日お弁当を作る負担は共働き家庭には大きい。完全給食の学校は負担が軽減される。立教小学校、学習院初等科、慶應義塾幼稚舎は完全給食を実施
- •PTA・保護者会の負担:平日の保護者参加行事が少ない学校、保護者会がオンラインで参加可能な学校を選ぶ。年間の行事カレンダーを事前に確認し、平日必須参加の回数をチェック
- •保護者ボランティアの頻度:強制的なボランティア参加が少ない学校を選ぶ。学校によっては年間10回以上の参加を求められるケースもある
- •連絡・情報共有のデジタル化:連絡帳がアプリ化されている学校、欠席連絡がオンラインでできる学校は共働き家庭に便利
- •スクールバスの有無:目白、成城学園前、田園調布など住宅街にある学校はスクールバスを運行しているケースが多い。送迎の負担を軽減できる
- •長期休暇中の預かり:夏休みや冬休みに預かりプログラムがある学校は、共働き家庭にとって大きな安心材料
朝の15分学習法——忙しい朝でもできる具体メニュー
共働き家庭では、朝の時間が最も安定して確保できる学習時間です。お子様は朝が最も集中力が高く、夜の30分より朝の15分のほうが学習効率が良いとされています。毎朝の「15分学習」を習慣化することで、1年間で約90時間の学習時間を確保できます。以下に曜日別の具体的なメニュー例を紹介します。
- •月曜日:数量プリント(数の合成分解・多少判断)を3〜5枚。前の週にできなかった問題の復習から始める
- •火曜日:図形パズル・点つなぎプリントを3枚。空間認識力を鍛える
- •水曜日:季節カード(行事・花・食べ物)を使ったクイズ。「この花はいつ咲く?」など親子で楽しく学ぶ
- •木曜日:お話の記憶の練習。朝食時に短いお話を読み聞かせ、食後に内容について質問する。お話は300〜500字程度の短いものから始める
- •金曜日:しりとり・反対語・同頭語など言語分野の口頭練習。通園の車中でもできる
- •土曜日:工作やお絵かき。はさみ・のり・クレヨンを使った季節の制作物を20〜30分かけて取り組む
- •日曜日:お休みまたは家族での体験活動。公園で体を動かしたり、動物園や博物館で実体験を積む
夫婦の役割分担——成功する共働き受験の分担パターン
共働き家庭の受験では、夫婦の連携が不可欠です。「どちらか一人が全てを背負う」のではなく、お互いの得意分野や勤務形態に合わせて役割を分担することが成功の鍵です。以下に、合格を勝ち取った共働き家庭でよく見られる3つの分担パターンを紹介します。
- •【パターン1:平日/週末分担型】母親が平日の朝学習(15分ドリル、持ち物準備)を担当し、父親が土日の塾送迎・運動練習・工作を担当。最もポピュラーなパターンで、約6割の共働き合格家庭がこの形を採用
- •【パターン2:分野別分担型】ペーパー対策は母親、運動テスト・行動観察の練習は父親、面接対策は夫婦で共同。それぞれの得意分野で分担するため、子どもへの指導の質が高まる
- •【パターン3:曜日ローテーション型】在宅勤務やフレックス制度を活用し、曜日ごとに担当を交代。例えば月水金は母親、火木は父親が学習サポートを担当。塾の送迎もローテーションで対応
どのパターンでも重要なのは、週1回は夫婦で「受験ミーティング」の時間を設けることです。お子様の学習進捗、模試の結果、学校説明会の情報などを共有し、方針のずれがないように調整しましょう。日曜の夜に30分程度、来週の予定と役割を確認するだけでも大きな効果があります。また、「ノート」や「共有アプリ」を活用して、日々の学習記録やお子様の様子を共有する家庭も増えています。
共働き家庭の1日スケジュール例
実際に難関私立小学校に合格した共働き家庭(父:会社員9時〜18時、母:会社員9時半〜17時半、年長のお子様1名)の平日のスケジュールを紹介します。
- •6:00 母起床。朝食準備、今日の学習プリント準備(前日に選んでおく)
- •6:30 父・子ども起床。父が子どもの着替え・身支度をサポート
- •6:45〜7:00 朝の15分学習タイム(母が横でプリントの丸つけ・声かけ)
- •7:00〜7:20 家族で朝食。食事中に季節の話題や「今日は何の日?」クイズ
- •7:30 父が子どもを幼稚園に送る(車中でしりとりや数の問題を口頭で)
- •7:45 母が出勤。通勤電車で受験情報のリサーチ、模試のスケジュール確認
- •15:00 幼稚園お迎え(祖母が担当。近居の場合)→自宅で絵本読み聞かせ
- •17:30 母帰宅。夕食準備と並行して子どもの1日の様子を祖母から引き継ぎ
- •18:00 父帰宅。子どもと30分の外遊びまたは室内で工作・運動の練習
- •18:30 家族で夕食。食事中は「今日あった楽しいこと」を一人ずつ話す
- •19:00〜19:30 お風呂タイム。湯船で数を数えたり、季節の歌を歌ったり
- •19:30〜20:00 読み聞かせ2〜3冊。お話の記憶の練習も兼ねて内容について質問
- •20:00 子ども就寝
- •21:00〜22:00 夫婦で翌日の準備と週末のスケジュール確認。必要に応じて願書の下書きや面接の練習
週末の過ごし方も重要です。土曜日の午前中は塾の授業に参加し、午後は塾の復習と自宅学習。日曜日は家族で公園やミュージアムに出かけ、体験学習の時間にあてます。月に1回は模試を受け、夫婦で結果を分析して翌月の学習計画を調整します。
塾選びのポイント——共働きに優しい塾の条件
- •土日メインの授業がある塾を選ぶ:ジャック幼児教育研究所、伸芽会、理英会などの大手塾は土日クラスが充実
- •振替制度が柔軟な塾を優先する:急な仕事の予定変更にも対応できるよう、月2〜3回の振替が可能な塾がベスト
- •オンライン授業や動画教材のオプションがある塾:復習用の動画配信や、欠席時のオンライン受講ができる塾も増加中
- •送迎サービスのある塾を確認:一部の塾では、保育園・幼稚園への送迎サービスを提供している
- •保護者の授業参観が必須でない塾を選ぶ:塾によっては毎回の授業後に保護者へのフィードバック時間を設けているが、書面やメールでの報告に対応する塾もある
- •塾からの連絡手段を確認:LINEやアプリでの連絡に対応している塾は、仕事中でも確認しやすい
面接での「共働き」の伝え方——具体的な回答例
面接で共働きであることを聞かれた場合、隠す必要は全くありません。むしろ、仕事と子育てを両立する姿勢は、計画性や実行力のアピールになります。面接官が知りたいのは「お子様の教育に十分な関わりを持てるのか」という点です。以下に、よく聞かれる質問と回答例を紹介します。
- •Q「お仕事をされていますが、お子様との時間はどのように確保されていますか?」→ A「限られた時間だからこそ、毎朝15分の学習タイムと、夕食後の読み聞かせの時間を大切にしております。量ではなく質を重視し、子どもと向き合う時間は全ての業務を忘れて集中しております。週末は家族で自然体験や文化施設を訪れ、親子の時間を意識的に作っております」
- •Q「学校行事への参加はどのようにお考えですか?」→ A「年間の行事スケジュールを早めに把握し、計画的に休暇を取得するようにしております。夫婦で協力し、どちらかが必ず参加できる体制を整えております。また、職場にも学校行事の重要性を伝え、理解をいただいております」
- •Q「放課後のお子様の過ごし方はどのようにお考えですか?」→ A「貴校のアフタースクールプログラムに大変魅力を感じております。放課後も学校という安心できる環境で、学びや友人関係を深められる点に期待しております。祖父母も近くに住んでおり、必要に応じたサポート体制も整えております」
- •Q「ご夫婦でどのように子育てを分担されていますか?」→ A「平日は妻が朝の学習サポートと幼稚園の送り、私が帰宅後の運動や工作の時間を担当しております。週末は夫婦で交代しながら塾の送迎や体験活動を行っております。夫婦で毎週日曜の夜にミーティングを行い、子どもの成長や翌週の予定を共有しております」
有給休暇の戦略的な使い方
共働き家庭にとって、有給休暇は貴重なリソースです。年間の有給休暇を戦略的に配分することで、受験準備を効率的に進められます。以下に、優先度の高い順に有給を使うべきイベントをまとめます。
- •【最優先】入試本番:10〜11月の試験日は父母ともに休暇を取得。複数校受験の場合は連続で2〜3日必要になることもある
- •【最優先】学校説明会・見学会:多くの学校が平日に開催。5〜9月に集中するため、夫婦で分担して参加。1校につき説明会+見学会で2日程度
- •【重要】大手模試(統一模試・公開模試):年4〜6回。特に夏以降の模試は志望校選定の材料になるため、結果分析の時間も含めて確保したい
- •【重要】願書の清書・提出:9〜10月。集中して取り組むために半日〜1日の休暇を。ネット出願の場合も写真撮影などで時間が必要
- •【推奨】面接練習(直前期):試験1〜2週間前に半日休暇を取り、夫婦で面接のリハーサルを行う
先輩ママ・パパからのアドバイス
- •完璧を目指さない。できることを着実にやる。8割できれば十分と心得る
- •有給休暇は説明会や模試に戦略的に使う。年初に年間スケジュールを立てて計画的に取得
- •「受験のせいで」と仕事の質を落とさない。両方頑張る姿を子どもに見せることが最高の教育
- •一人で抱え込まず、パートナーと情報も感情も共有する。受験は「チーム戦」と心得る
- •SNSの受験アカウントに振り回されない。他の家庭との比較は百害あって一利なし
- •子どもは親の背中を見ている。仕事に誇りを持ち、楽しんで働く姿を見せてあげてほしい
- •入学後のことも見据えて学校選びをする。6年間通うことを考え、無理のない通学距離と預かり体制を確認